授乳中の服用 「授乳中だけどロキソニンを服用しても大丈夫?」 患者さんからよく聞かれる質問ですが、製薬メーカーの説明書ではロキソニンを服用中は「 授乳は避けること」となっています。 授乳中の婦人に投与することを避け、やむをえず投与する場合には授乳を中止させること。 [動物実験 (ラット)で乳汁中への移行が報告されている。 ] 引用元 ロキソニンインタビューフォーム 日本の説明書では少しでも母乳中に薬が移行する場合「授乳を中止すること」となっています。 しかし、実際に母乳中に移行する薬の量はごくわずかで、赤ちゃんに大きな影響がでないことが多くあります。 大分県の産婦人科医会と小児科医会、薬剤師会の研究チームの見解では、ロキソニンは下記のように位置付けられています。 限られた授乳婦で研究した結果、 乳児へのリスクは最小限と考えられる薬剤。 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない 引用元 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック また 限定された情報ではあるが移行の程度は微量。 未変化体・代謝物共に半減期は短く、蛋白結合率は高い。 引用元 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック となっており、 実際に医療現場では「授乳を中止しなくてもよい」と指導されるケースはあります。 間隔をあけた方がいい? 「ロキソニンを服用した後、授乳するのにどれくらい間隔をあけた方がいい?」 患者さんからよく聞かれる質問です。 もし主治医から授乳を中止しなくてもよいと指導された場合、ロキソニンの服用と授乳の間隔はどれくらいあければよいのでしょうか? ロキソニン(ロキソプロフェン)は服用後、0. 45時間(およそ30分)で薬の血中濃度が最大になります。 その後、75分ごとに薬が半分の濃度に分解されていき、4~6時間でほとんど消失します。 そのためロキソニンを毎食後に服用する場合は、ロキソニンを服用する直前に授乳させると影響を最小限に抑えることができると考えられます。 ロキソニンテープ・パップ(湿布)・ゲルと授乳 「 ロキソニンテープを貼った時に授乳していい?」 「 ロキソニンゲルを塗った時に授乳はOK?」 や、ロキソニンゲルなどの外用剤と授乳との影響についても薬局で患者さんから聞かれることがあります。 たとえテープや湿布、ゲルであっても内服薬と同様、皮膚から身体に吸収されてしまいますが、内服薬のロキソニン錠(ロキプロフェン錠)と比べるとごくわずかのため、特に授乳中の注意書きはありません。 授乳中に飲める市販の解熱鎮痛剤 授乳中に安全に服用できる解熱剤として位置づけられているのは アセトアミノフェンという成分です。 処方箋薬であればやコカールが、市販薬の場合は、タイレノールが該当します。 カテゴリー• 4 こんにちは。 現役薬剤師Yu(ユー)です。 2006年に京都薬科大学薬学部を卒業し、薬剤師免許を取得後、調剤併設ドラッグストアと調剤薬局にて勤務する現役薬剤師です。 健康食品や市販薬、内科、整形外科、皮膚科、小児科、在宅医療まで幅広く患者さんと関わってきました。 「一人の患者さんが抱える薬の疑問は、みんなが抱える疑問かもしれない」 私が薬剤師として活動する中で、患者さんに聞かれたことや、患者さんが知っておく必要があると思った情報をまとめるためにサイトを立ち上げました。 最近は患者さんだけでなく、ヘルパーさんや看護師さんなど医療従事者の方も薬の勉強のために閲覧をいただいております。 「薬に関わる疑問を少しでも解消したい。 」 そのような思いで日々サイトを磨いてまいります。 まだまだ成長過程の薬剤師ですが、一人でも多くの方がこのサイトがあってよかったと思っていただるように自分の抱える知識を発信してまいります。 スポンサーリンク.
次のまず、15歳未満は服用できないこと。 お薬の箱にも書かれていますが小児にはロキソニンは使用できません。 半分の量にしたからといって、ロキソニンの成分は小児への服用は認められていません。 次に、 服用の際には空腹時を避けて内服し、1日2回までの服用とすること。 空腹時は特に副作用の胃腸障害が出現しやすくなるからです。 どうしても症状が再出現してしまいツライ場合には3回目の服用も可能ですが、 前回服用から4時間以上空けてから服用するようにしましょう。 1) また、 1回に2錠まとめて服用は絶対にしないでください。 重篤な副作用を引き起こす可能性があります。 ちなみに、ロキソニンの鎮痛効果は「胃が痛い時」には使用してはいけません。 副作用の胃腸障害は、薬の成分により胃腸に負担がかかることで出現するものです。 「胃が痛いからロキソニン」は余計に胃腸に負担をかけ症状を悪化させる原因になりますので、やめましょう。 本題の、授乳中にロキソニンは内服して大丈夫なのか?ですが、実は 授乳中の服用は推奨されていません。 安全性が確立されていないからです。 しかし、出産後の後陣痛の鎮痛薬として産婦人科で処方されている側面もあります。 出産後に起きる後陣痛は子宮収縮による痛みで、授乳によっても促されます。 実際に、筆者の周りでも後陣痛にロキソニンが処方されたという人もいました。 病院によって・先生によっても指針や考えも違い、処方するところと処方しないところがあるようですが。 授乳中の服用は推奨されていないのに、授乳によって促される後陣痛に対して処方。 矛盾していますよね。 こうなったらどうしたらいいか余計にわからなくなってしまいます。 授乳中の内服。 ロキソニンは母乳にどんな影響があるのでしょうか。 まず、 授乳中の薬の内服について、ほとんどの薬は内服するとその成分が母乳に移行するといわれています。 しかし多くの場合は、お母さんが飲んだほんのわずかな量しか母乳中に移行しません。 もし赤ちゃんが薬の成分を含んだ母乳を飲んでも、その中のさらにわずかな量しか赤ちゃんには吸収されないので、授乳中の内服は影響がないことがほとんどです。 なかには、赤ちゃんに影響が出るくらい吸収されてしまい授乳中の使用が禁止されている薬もありますが、かなり限られています。 2)5) ロキソニンの場合も、母乳中への移行が実験で確認されています。 しかし、 その成分を含んだ母乳の安全性については具体的な症例はなく影響の有無もわかっていないため、授乳中の服用に関する安全性は確立されていません。 ロキソニンの成分を含んだ母乳を飲み続けることで赤ちゃんにどんな影響があるのか、現時点ではわかっていないのです。 そのため製薬会社としては、 安全ですよと言い切れないことは授乳中は推奨できない、としています。 授乳中ロキソニンを服用してからしばらく置く。 現実的には難しいことの方が多いですよね。 一度授乳を止めてしまうとホルモンの変化で再開が難しくなってしまう場合もあり、簡単にしばらく授乳しないと選択できないことも。 でもツライ痛みが続く。 困りましたね。 では、授乳中でも服用が可能な薬があればいいですよね。 授乳中の頭痛・生理痛がツライ時、ロキソニンに替わる鎮痛薬はあるのでしょうか。 授乳中の頭痛・生理痛によく処方されるものに、カロナール(アセトアミノフェン)というものがあります。 ロキソニンと同じ解熱鎮痛薬ですが、痛みや熱に対する効果のメカニズムが違います。 脳の中枢神経や体温調節中枢に作用することで解熱鎮痛効果を発揮します。 さらに、 ロキソニンと比べて効果が穏やかで安全性が高いと言われており、妊娠中の発熱時に処方されることもあります。 また、カロナールの成分であるアセトアミノフェンは、小児の発熱に対しても処方されていますし、市販の風邪薬にも広く使われています。 もちろん、薬なので副作用が全くないわけではありません。 報告されている主な副作用では、発疹・嘔吐や食欲不振があります。 効果についても個人差はあります。 国立成育医療研究センターのホームページの「授乳中に安全に使用できると思われる薬」にも、カロナール(アセトアミノフェン)は記載されています。 この一覧にロキソニンは記載がなかったので、授乳中のカロナール服用の安全性がロキソニンよりも高いことがわかりますね。 授乳中の安全が認められているお薬でも、母乳中に薬の成分は移行しますし、 自己判断での薬の増減はしないようにしましょう。 内服でなく、湿布薬であるロキソニンテープはどうでしょうか? 赤ちゃんを抱っこしていると腰や腕が痛くなったり、腱鞘炎になることもしばしば。 そんな時は湿布薬使いますよね。 ロキソニンテープも市販されており薬局で簡単に購入できます。 湿布薬は貼ったところに局所的に効くものですが、同じように母乳中に薬の成分は移行するのでしょうか? ロキソニンテープの場合、母乳中への薬の成分の移行するかは不明のようです。 乳汁移行に関する実験も報告は確認されていないようで、授乳中の安全性も確認されていません。 参考として、内服薬に比べ湿布薬投与時の血中濃度は著しく低い、ということだけ確認されているようです。 6) こちらも、授乳中の使用は安全か危険かは不明のため推奨はされていないといったところです。 製薬会社や病院の医師・薬剤師が書かれているようなサイト、どのサイトにも書かれていますが、 服用する際は自己判断せず必ず医師や薬剤師に確認してください。 ドラッグストアで市販薬を購入する際にも、授乳中であることを伝えてください。 飲み合わせによって副作用が強く出ることや、状況によっては中止する必要があること、他に代用できる薬の提案など、医師や薬剤師がその時々の状況によって判断します。 もしかしたら、授乳中であることを伝えたことで、おすすめできない、販売できないと言われてしまうこともあるかもしれません。 安全を確保するために「服用しない」と判断することもあるからです。 どのお薬にも言えることですが、特にロキソニンは市販もされていてとても 身近な薬だからこそ、自己判断せず、専門家に相談し正しく付き合っていくことが大切です。
次のロキソニン錠(ロキソプロフェン)の授乳中への移行性について 授乳婦の解熱鎮痛剤としてはカロナールが処方されることが多い印象があるのですが、ときおりロキソニン錠が処方されることを目にします。 ロキソニン錠の授乳中への移行性を確認するためにLACTMEDを検索してみましたが、なにもヒットしませんでした。 ロキソニン錠は日本国内で圧倒的な知名度を有していますが、海外での使用量は非常に低いため授乳中への移行性に関するデータサンプルがない薬であることがわかりました。 類似薬と言っていいかどうかはわかりませんが、同じプロピオン酸系で5歳以上の小児への適応を有しているブルフェン錠(イブプロフェン)は海外ではおなじみの解熱鎮痛剤であり、母乳への移行性が低い薬であるため授乳婦への投与として好ましい選択であるという記載があります。 国内でのロキソニン錠と授乳婦に関する報告を検索したところ、授乳婦4名(28~33歳)へロキソニン錠が投与されたときの乳汁中への移行データを確認することができました。 その結果、母乳中へのロキソニン錠濃度は、服用後~5. 5時間後までにおいて検出限界(0. 一般にロキソニン錠は血中では血中タンパクと結合して存在しています(タンパク結合率97%)。 さらに血中タンパクと結合していない残り3%は分子型ではなくイオン型として存在していることが示唆されますので(pKa4. 2 、薬剤特性から見ても乳汁移行性は低い製剤であることが考察されます。 ロキソニン錠は体内で代謝された後、活性代謝物として作用する薬ですが、活性代謝物の血中濃度は未変化体よりも低いこと、さらに水溶性も高いことから乳汁中への移行性はさらに低下することが推測されています。 このため母乳を摂取している乳児におけるロキソニン服用量は、非常にすくない(最大に多く見積もっても成人が1錠飲む量の70分の1以下程度の摂取量、体重換算で考えると10分の1程度)ことが試算されています。 ここまでのデータだけを見ると、ロキソニン錠の授乳婦への投与は安全性は高い薬のように見えます。 しかし上記データサンプル数は4名と非常に低いことは重々踏まえなければなりません。 一般的に、乳児対するに適応がある薬(乳児への投与実績がある薬)は授乳婦も服用できるという認識でよいことに変わりありません(カロナールなど)。 そのつぎの段階として、乳児対するに適応がないものの、授乳婦が服用しても母乳中への移行性が低いために小児への影響が少ない薬(ブルフェンなど)が選択されるかと思います。 この量で試算した結果、母親がロキソニン60mgを1錠飲んだ時、1日700mLの母乳を飲む乳児の場合、1日で350㎍(マイクログラム)程度のロキソプロフェン(未変化体)を摂取することになります。 さらに、ラットにおける報告ですが、母親の血液中に含まれるロキソプロフェンの量と、乳汁中に含まれるロキソプロフェンの量が時系列で示されました。 母親がロキソプロフェン服用後15分後の母親血液中に含まれるロキソプロフェン濃度:2. もし気に方がいらっしゃれば「授乳後にロキソニンをのみましょう」「ロキソニンを飲んでから3時間後に授乳」といった目安をお伝えすることは有益な情報に感じます。
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