オシロスコープ トリガ。 (ディジタル)オシロスコープ測定入門

オシロスコープ|波形測定器

オシロスコープ トリガ

図28. レベルトリガの設定 トリガとなる信号にノイズが重畳している場合は、低帯域除去(LF REJ)フィルタや高帯域除去(HF REJ)フィルタの設定もしくはトリガ閾値のヒステリシスを上げる設定をすれば安定したトリガ点を得ることができる。 もしフィルタを使っても安定したトリガ点が得られない場合はほかの信号からトリガを得ることになる。 エッジトリガを設定したときは合わせてトリガモードの設定も行う。 これによってオシロスコープのトリガ回路の動作は決まる。 トリガモードには下記の3通りがある。 繰り返し現象を観測するときはノーマル・モードもしくはオート・モードを選択する。 単発現象を観測するときはシングル・モードを選択する。 図29. トリガモードの選択 アナログオシロスコープを使っていた時は繰り返し周期の長い複雑な波形を観測するときはホールドオフ機能を使ってトリガ検出を禁止する時間の設定をおこない安定した波形を観測する機能を持っていた。 デジタルオシロスコープでもこの機能を踏襲しているが、波形メモリの長いオシロスコープではシングル・モードを使って波形を取り込んでから、スクロール機能を使って波形を観測するほうが便利である。 高度なトリガ アナログオシロスコープではエッジトリガ以外には電源同期トリガ、テレビトリガくらいしか搭載されていなかったが、ミドルクラス以上のデジタルオシロスコープではエッジトリガ以外にさまざまなトリガが用意されている。 例えばテクトロニクス社のMDO4000に搭載されている高度なトリガとして「シーケンス(B トリガ)、パルス幅、タイムアウト、ラント、ロジック、セットアップ/ホールド時間、立ち上り/立ち下り時間、ビデオ、拡張ビデオ(オプション)、パラレル(Opt. MDO4MSO が必要)」が用意されている。 高度なトリガは測定器メーカや製品によって搭載されている機能が異なるので注意が必要である。 高度なトリガは組み込み機器のデジタル回路を評価するために便利な機能である。 パラメータ測定および演算機能 デジタルオシロスコープは取り込んだ波形データをそのまま表示するだけではなく、波形のデータ値を表示したり、目的にあった演算を行い加工する機能を持っている。 波形パラメータ測定 アナログオシロスコープにもあったカーソル表示に加えて、各種波形パラメータを抽出できる機能を持っている。 例えばテクトロニクス社のMDO4000では30項目の波形パラメータの抽出ができ、そのうち同時に8項目の表示ができる。 ・MDO4000にある30項目の波形パラメータ 周波数、周期、遅延、立ち上り時間、立ち下り時間、正のデューティ・サイクル、負のデューティ・サイクル、正のパルス幅、負のパルス幅、バースト幅、位相、正のオーバシュート、負のオーバシュート、トータル・オーバシュート、P-P、振幅、ハイ、ロー、最大値、最小値、平均値、サイクル平均値、実効値、サイクル実効値、正のパルス・カウント、負のパルス・カウント、立ち上りエッジ・カウント、立ち下りエッジ・カウント、面積、サイクル面積 観測できる波形パラメータは測定器メーカや製品によって異なるので、この機能を利用する場合は製品仕様を事前に確認する必要がある。 四則演算機能 取り込んだ波形データに四則演算を行って新たなデータを作り出す機能である。 例えば、この機能を使う用途して電源回路のスイッチング損失測定である。 スイッチング素子の両端の電圧を差動プローブにより測り、スイッチング素子に流れる電流を電流プローブによって測定する。 得られた電圧値と電流値を掛け算すれば損失した電力が得られる。 ただし、オシロスコープの精度は高くないので、測定した損失の確度を規定することは難しい。 このため測定結果は目安として利用することになる。 図31. デスキュー・パルス・ジェネレータとデスキュー・フィクスチャ 提供:テクトロニクス社 FFT演算機能 オシロスコープは時間軸の信号波形を観測するものであるが、FFT演算を行って周波数軸で波形を観測することができる。 観測した信号にノイズが重畳している場合、FFT演算機能を使うとノイズ成分からノイズ発生源を特定できることがある。 FFT演算を行う場合は窓関数を設定することになる。 オシロスコープに取り込んだ波形を切り出してそのままFFT演算を行うと、切り出した波形の両端が不連続となり、結果としてFFT演算した結果のパワースペクトラムがピークの近傍に漏れ出してしまう。 図34. さまざまなジッタ測定 周期ジッタはトリガ点を固定すれば、波形を重ね書きすることにとって簡単に観測される。 タイム・インターバル・エラーを測定するには外部から基準クロックを得るか、クロック位置を推定する機能が必要となる。 最近のオシロスコープではすべてのジッタを測定できる機能が搭載されているものがある。 波形データの印字、保存、通信 オシロスコープに取り込んだ波形データを印字、保存、通信する機能は本体に組込まれている。 印字のためのプリンタをオシロスコープに搭載している機種もある。 プリンタを内蔵していいない製品は外部のプリンタに観測結果を印字する機能を持っている。 外部記録メディアは過去にはフロッピーやPCMCIAカードなどが使われていたが、現在ではUSBメモリが主流となっている。 オシロスコープの制御やデータ転送を通信経由で行うことができるが、製品によって対応している通信規格が異なっているため、予め確認する必要がある。 最近の製品はGPIBに対応していないものが多くなってきたので、GPIBを使ったシステムを構築する際はGPIB-USBアダプタを用意する必要がある。 低電圧差動プローブやアクティブ・シングルエンドプローブを使う場合は、静電気によるプローブの破損を防ぐため、帯電防止リスト・ストラップを使用することを勧める。 図37. 帯電防止リスト・ストラップを装着しての作業 落下や衝撃による破損を防ぐ 過去にはオシロスコープを専用台車に乗せて使うことが多かったが、最近のオシロスコープは小型軽量になってきているため、実験ベンチの上に置いて使われることが多い。 また入力数が多くなり、オシロスコープに接続されるケーブルは多くなった。 このためオシロスコープを使う実験ではケーブルを引っ掛けてオシロスコープを落下させる危険性がある。 オシロスコープを机の端に置くなど避けるようにして利用することを勧める。 最近のオシロスコープにはノートPCで使われている盗難防止用のセキュリティーワイヤーロックが使えるものがあるので、これを利用して落下防止をすることもできる。 また、オシロスコープを屋外に持ち出して利用する場合は、画面やコネクタなどが突起物や建物の壁にぶつかって破損する危険がある。 オシロスコープの全面カバーは取り付けて、キャリングケースにプローブ、電源コード、取扱説明書などを一緒に入れて持ち歩くことを勧める。

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デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第2回)

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従来のハードウェアトリガー機能を補完 電気回路の不具合に対する問題解決や原因究明に、広く使用される計測器がオシロスコープだ。 特定の不具合波形の分離を可能にする、オシロスコープの主要な技術がトリガーになる。 オシロスコープには、エッジ、グリッジ、パルス幅、パターンなど、各種イベントの切り分け用にハードウェアトリガー機能が標準搭載されている。 一方で、今まで存在していたハードウェアトリガー機能は、まれに発生する不具合波形を時間で分離するには最適だが、それだけでは十分でない。 例えば、オシロスコープの画面上に不具合波形が観測されていたとしても、通常のトリガー機能ではこうした波形を分離するのは非常に困難だ。 ゾーントリガー機能は、こうした今まで存在していたハードウェアトリガー機能を補完するためのものである。 この機能は、オシロスコープのユーザーにとって、トリガー設定に関してさらなる柔軟性をもたらしてくれる。 以下に紹介する5つの質問は、「ゾーントリガー機能を利用したい」「オシロスコープベンダーが提供するゾーントリガー機能の評価を行いたい」と考えているエンジニアにとって役立つ情報となるだろう。 ゾーントリガー機能とは? ゾーントリガー機能を理解することで、それが効果的なケースと、効果的でないケースを区別できるようになるため、最適な使い方を選択可能になる。 では、ゾーントリガーはどのようにして動作するのか? 答えは非常にシンプルである。 図1に示すように、1つ以上のゾーンをオシロスコープの画面上に図形として描く。 また、各ゾーンには、「波形が横切る」「波形が横切らない」といったパラメータを設定できる。 オシロスコープは波形を捕捉するたびに、メモリ内部の捕捉波形を見に行く。 捕捉した波形がゾーンの設定条件を満たさない場合、オシロスコープはデータを無視する。 ユーザーが定義したゾーンの条件を満たす波形だけが、画面に表示されるのだ。

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初心者のためのオシロスコープの基本的な使い方とオシロ選びの注意事項

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初期投資を抑えるオシロスコープの上手な買い方 装置を選定する場合、現在行っている測定のデータを問題なく取得できるかという点で決定します。 オシロスコープの選定は、帯域幅、サンプリングレート、チャネル数、メモリ長など、多くの要素によって異なり、当然価格も重要視されます。 例えば、購入時は100MHz帯域で問題なく測定できでも、将来は200MHz帯域が必要になるかもしれない場合があります。 この場合はまず、100MHz対応のオシロスコープを購入し、後日、200MHzのライセンスを購入することでアップグレードすることで、初期投資を抑えて購入できます。 最近のオシロスコープのハードウェアには、上位機種と同じ回路が組み込まれている為、ライセンスによるアップグレードが可能になりました。 レンタルや中古を購入するという選択肢もありますが、初期の購入では最低限必要な機能で購入し、後日、必要に応じてアップグレードをしていくことが賢い買い方としておススメです。 —— 予算の範囲で、できるだけ周波数の高いデジタルオシロスコープを選ぶのは賢い方法ですか? オシロスコープを選定する場合、チャネル数・周波数帯域・サンプリングレートなどが基本要素になります。 チャネル数は換えが効きませんから、第一に押さえなければなりません。 汎用の は、2チャネルあればたいていの用途には対応できます。 ですが、ロジックと組み合わさった機器などに使う場合は4 チャネル欲しくなるかもしれません。 その次はやはり周波数帯域でしょう。 帯域が広い(最高周波数が高い)方が高速信号に対応できますから、できるだけ周波数の高いオシロスコープを選ぶというのは間違えではありません。 ですが、帯域が広がればオシロスコープの価格も高くなります。 測定信号が持つ帯域を程よくカバーできるオシロスコープを選ぶのがベストです。 ただ、このとき対象となるのは、信号の繰り返し周波数ではなく、信号の持つ周波数成分(スペクトラム)です。 例えば、デジタル回路の方形波は繰り返し周波数の何倍もの周波数成分を含んでいます。 波形を正しく測定するには、オシロスコープの周波数帯域がこれらの周波数を包含していることが肝心です。 図1は、繰り返し周波数(基本波)が50MHzの方形波を、60MHz、100MHz、350MHzおよび500MHzのオシロスコープで捉えたものです。 この方形波に対しては基本波の10倍に相当する帯域が必要なことが分かります。 なお、主に方形波信号を対象とする場合は、周波数帯域よりも立ち上がり時間のスペックで判断するのも賢い方法です。 必要な帯域幅とは? デジタル回路において、オシロスコープの帯域幅がアプリケーションに十分対応できるかどうかを確認するには、実際に表示したい信号の帯域幅を考慮する必要があります。 帯域幅はオシロスコープの最も重要な特性です。 帯域幅が決まれば、表示される信号の範囲はもちろん、装置の価格もほぼ決まります。 帯域幅を決める際には、予算や開発部門におけるオシロスコープの使用目的を考慮して判断します。 通常、オシロスコープが表示する最も周波数の高い信号は、システムクロックです。 信号の形状を適切に表示するには、少なくとも周波数の3倍以上の帯域幅が必要です。 オシロスコープの帯域幅条件の決め手となるもう1つの信号の特性は、信号の立上がり時間です。 観察するのは純粋な正弦波とは限りません。 信号には、基本波周波数以上の高調波が含まれる場合もあります。 例えば、方形波の場合は、信号の基本周波数の少なくとも10倍の周波数が信号に含まれています。 方形波などの信号を観察する場合、適切なオシロスコープ帯域幅が得られなければ、ディスプレイに表示されるのは、期待どおりの鮮明で急峻なエッジではなく、丸みのあるエッジが表示され、測定の確度にも影響を与えます。 信号の特性を考慮した、適切なオシロスコープ帯域幅を決定する際に役立つ簡単な式: 1. 信号帯域幅 = 0. オシロスコープ帯域幅 = 2 x 信号帯域幅 3. オシロスコープのリアルタイム・サンプリングレート = 4 x オシロスコープ帯域幅 適切なオシロスコープ帯域幅が決まれば、同時に使用したいチャネルのサンプリングレートを考慮します。 上記の式3から分かるように、チャネルでオシロスコープの仕様帯域幅がフルサポートされるには、各チャネルのサンプリングレートをオシロスコープ帯域幅の4倍にする必要があります。 最高サンプリングレートだけでオシロスコープを比較することは適切とは言えません。 したがって、どの条件でのサンプリングレートかに注意してください。 図2に、AとB二通りの構成例を示しました。 何チャネルでどの速度が得られるかはカタログに示されています。 必要なチャネル数とは? オシロスコープのチャネル数は、2個または4個で、一見したところ重要な問題には思われません。 このような状況では、外部トリガ用ハードウェアを作成するか、動作を分離するための特殊なソフトウェアを書く必要があり、手間が増えます。 図3:6チャネル測定: RAS、CAS、WE、CS、CLKでの書込みトリガをかけたときのデータライン 出典:キーサイト・テクノロジー このようなデジタル回路の特殊性を考慮して、デバッグ用にミックスドシグナルオシロスコープが登場しました。 ミックスドシグナルオシロスコープでは、一例をあげると、16個のロジックタイミングチャネルが追加され、オシロスコープチャネルと緊密に連携します。 その結果、 最高20チャネルの時間相関したトリガ、捕捉、表示が可能になりました。 ミックスドシグナルオシロスコープでのデバッグ例として、SDRAMを考えてみます。 SDRAMの書込みサイクルを分離するには、5種類の信号(RAS、CAS、 WE、 CS、 クロック)を組合わせてトリガする必要があります。 4チャネルのオシロスコープでは、このような基本的な測定も十分に行えません。 図3から分かるように、16個のロジックタイミングチャネルは、RASハイ、CASロー、WEハイ、CSでのトリガを設定するために使用されています。 オシロスコープのチャネル1は、クロックの立上がりエッジの表示とトリガに使用されています。 ロジックアナライザ/オシロスコープの一体型ソリューションでは、ロジックアナライザはオシロスコープにクロストリガをかける、またはその逆にオシロスコープはロジックアナライザにクロストリガをかけますが、ミックスドシグナルオシロスコープでは、オシロスコープチャネルとロジックタイミングチャネルの両方の条件が同時に満たされたときにトリガをかけることができます。 必要なサンプリングレートとは? サンプリングレートも、オシロスコープを評価する際に極めて重要な仕様であり、注意すべき点があります。 オシロスコープの仕様には、このように最大限に高められたサンプリングレートだけが強調して明記され、サンプリングレートが単一チャネルにしか適用できないことは明示されていません。 4チャネルオシロスコープの購入を検討する際には、単一チャネルだけではなく複数のチャネルでフル帯域幅を使用したい場合もあることを考慮してください。 必要な帯域幅を考慮する際に使用した式より: 3. オシロスコープのリアルタイム・サンプリングレート = 4 x オシロスコープ帯域幅 オシロスコープのサンプリングレートはオシロスコープの帯域幅の少なくとも4倍は必要でした。 オシロスコープがデジタル再構成方式を採用していない場合、乗率は10 x でなければなりません。 ほとんどのオシロスコープでは、何らかのデジタル再構成方式が採用されているので、4 x の乗率で十分なはずです。 これらのオシロスコープで3個または4個のチャネルを使用する場合には、実際には1チャネルあたりのサンプリングレートは、1. 複数のチャネルで 500MHz 帯域幅をサポートするには不十分です。 サンプリングレートを調べるためのもう1つの方法は、捕捉するポイント間の分解能を先に決定する方法です。 サンプリングレートは、簡単に言えば分解能の逆数です。 結論としては、複数のチャネルを同時に使用する際に、検討中のオシロスコープが1チャネルあたりのサンプリングレートを十分に確保できるのか、また各チャネルがオシロスコープの仕様帯域幅をサポートできるのかという点を確認してください。 デジタルオシロスコープは、メモリに取り込まれたデータを画面に表示するわけですから、無限大のメモリを使って一度に全ての信号を取り込むのが理想です。 高速・大容量記憶しておけば、後から好きな部分を拡大して見ることもできます。 ですが、実際には有限のメモリを使いますし、メモリが長くなればデータの処理時間も多くかかってしまいます。 そこで機種毎の処理性能に合わせた現実的なメモリ長が採用されているわけです。 メモリ長で注意したいのは、サンプリングレートと信号が取り込まれる時間長の関係です。 そこで多くのオシロスコープでは、時間軸設定が遅い場合はサンプリングレートも追従して遅くなるようになっています。 常に最高速度でサンプリングされるわけではないことに注意してください。 左側(A)は 2M ポイントのロングメモリ、右側(B)は 2K ポイントの場合です。 2M ポイントの場合は高速サンプルのまま信号が取り込まれていますが、2K ポイントではサンプリング周波数が下がった結果、エリアジングを生じ、あたかも信号であるかのように見えています。 *2M ポイントロングメモリは、エリアジングを防ぐために十分なサンプリングレートを維持しています。 メモリが2k ポイントに減少させた場合には、サンプリングレートは1000分の1に低下します。 この低下したサンプリングレートでは、オシロスコープは信号をアンダーサンプリングするので、155MHz の周波数のエリアジング信号が生じます。 右側の波形は正常に見えますが、正常ではありません。 波形の周波数が79. 9MHzずれています。 出典:キーサイト・テクノロジー オシロスコープの最大サンプリングレートの仕様が、すべてのタイムベース設定に適用されると勘違いしている場合があります。 そのようなオシロスコープは理想的ですが、ユーザの誰も購入できないほどの大容量のメモリが必要になります。 メモリ長は限られており、どのようなオシロスコープも、タイムベースの設定範囲が広がれば広がるほど、サンプリングレートが低下します。 装置のメモリ長が増えれば増えるほど、フルサンプリングレートで捕捉できる時間は長くなります。 サンプリングレートがタイムベース設定によってどのような影響を受けるのかを確認するには、オシロスコープを調べる必要があり、システム動作のフルサイクルを表示するために必要な掃引速度で動作している場合には、数キロヘルツ( kHz )の帯域幅しかありません。 必要なメモリ長は、維持したいサンプリングレートだけでなく、表示時間によっても決まります。 高いポイント間分解能で長期間にわたり観察する場合は、ロングメモリが必要になります。 タイムスパンとサンプリングレートが決まれば、次の簡単な式から必要なメモリ長が求められます。 メモリ長 = サンプリングレート x ディスプレイ上の表示時間 波形を拡大表示してさらに詳細に調べる場合は、オシロスコープ上のすべての時間設定で高いサンプリングレートが必要です。 そうすれば、信号のエリアジングを回避できるだけでなく、波形の細部まで詳細に表示できます。 メモリ長が決まれば、最長のロングメモリ設定でオシロスコープ動作を確認することも重要です。 従来のロングメモリアーキテクチャを採用しているオシロスコープは、応答が遅く、生産性にマイナスの影響を与える可能性があります。 応答が遅いので、ロングメモリをスペシャルモードにするメーカーも多く、エンジニアは通常、他に方法がない場合のみ、ロングメモリを使用していました。 メーカーは長年にわたって、ロングメモリアーキテクチャを研究して来ましたが、依然として低速で、動作に時間がかかりすぎるロングメモリもあります。 購入する前に、最長のロングメモリ設定でのオシロスコープの応答性を評価する必要もあります。 —— 突発的な現象をとらえるにはメモリが長いほど有利ですよね? デジタルオシロスコープは、信号の全ての部分を捉えているわけではないことは、突発的・偶発的な異常の解析に当たって留意しなければならない事項の一つです。 そして、メモリ容量が大きいほど偶発的な現象を捉える確率は高くなります。 図6は、連続した正弦波の一部に欠陥がある場合を示しています。 赤い枠で囲んだ四角の部分はオシロスコープに取り込まれる範囲を示しています。 メモリ容量を増やすということは、図で赤い枠の横幅を広げることを意味します。 したがって異常部分と重なる確率は確かに大きくなります。 サンプリングレートとメモリ長にもよりますが従来型のオシロスコープのデッドタイムは全体の90~99%にもなります。 したがって、効果的に異常部分を捉えるには、メモリ容量を増やすことよりも波形を更新するレートを上げた方が有利です。 オシロスコープによっては、毎秒10万回という高速波形更新レートを持ち、デッドタイムは全体の50%以下というものもあります。 必要な表示機能は? アナログオシロスコープの時代、画質はCRTディスプレイにより決まっていましたが、デジタルオシロスコープでは、ディスプレイの物理的な特性ではなく、主にデジタル処理アルゴリズムによって決まります。 一部のメーカーは、従来のアナログオシロスコープのディスプレイとデジタルディスプレイの差を少しでも克服するために、製品に特別な表示モードを追加しました。 しかし、開発部門に最適なオシロスコープを選ぶには、仕様を検討するだけでは十分ではありません。 ニーズに最適なオシロスコープを決定するには、デモで実際に波形を観察するしかありません。 今日のデジタルオシロスコープは、波形ビュワーと波形アナライザの2つのカテゴリに大別されます。 表示用のオシロスコープは、通常、テスト/トラブルシューティングに使用されます。 このようなアプリケーションでは、波形の画像から必要な情報を入手することになります。 この場合でも、製品のデータシートを検討するだけでは、オシロスコープが最適であるかどうかを判断することはできません。 オシロスコープから期待どおりの表示が得られるかどうかは、実際のデモで確認する必要があります。 必要なトリガ機能は? 多くの汎用オシロスコープには、エッジトリガ機能が備わっています。 アプリケーションによっては、拡張トリガ機能があると便利な場合もあります。 高度なトリガ機能を使用すれば、表示したいイベントを分離することができます。 例えば、デジタル回路では、パターンでトリガがかけられると大変便利です。 シリアル通信用に、一部のオシロスコープには、SPI、CAN、USB、I2C、LINなどのシリアルトリガ機能が内蔵されています。 さらに、高度なトリガオプションがあれば、日常のデバッグ作業に要する時間を大幅に短縮することができます。 発生頻度の低いイベントの捕捉には、グリッチトリガ機能が便利です。 グリッチトリガを使えば、グリッチでトリガをかけたり、特定の幅よりも大きなまたは小さいパルスでトリガをかけることができます。 これらの機能は、特にトラブルシューティングに便利な機能です。 障害箇所でトリガをかけ、トリガ前の状態を調べて、問題の原因を突き止めることができます。 オシロスコープのTVトリガを使用すれば、表示したいフィールドや特定のラインでトリガをかけることができます。 信号のプロービングに最適な方法は? 周波数が高くなるにつれ、オシロスコープの特性だけでなく、プローブの特性も重要になってきます。 パッシブプローブは通常 600MHz までに制限されているため、オシロスコープの性能をフルに発揮できるプローブが必要になります。 システム帯域幅、すなわちオシロスコープ/プローブの組合わせの帯域幅は、2つの帯域幅のうちの小さい方によって制限されます。 例えば、1GHz オシロスコープと 500MHz パッシブプローブを組み合わせた場合のシステム帯域幅は 500MHz になります。 プローブのために 500MHz の帯域幅しか得られないのであれば、1GHz オシロスコープを購入しても無駄になります。 プローブを接続すると、被試験回路の一部になります。 プローブの先端は、基本的には短い伝送ラインです。 遅い立上がり時間や信号のリンギングにより、LC共振回路がかける負荷を簡単に確認できます。 図7:2. 5GHz プローブで測定した 立上がり時間が 250ps の信号 (5. 1cmダンピングなしの接続) 図8:2. 5GHz プローブで測定した 立上がり時間が 250ps の信号 (5. 1cmダンピングありの接続) 出典:キーサイト・テクノロジー アクティブプローブは、パッシブプローブより帯域幅が広く、プローブを被試験デバイス(DUT)に接続した際に伝送ラインへ与える影響を多少緩和することができます。 アクティブ・プローブにプローブ先端の「ダンピング」抵抗やアクセサリを組み合わせることで、信号負荷とその結果生じる信号の歪みを最小限に抑えたプローブでは、「ダンピング」アクセサリの働きで、LC共振回路のインピーダンスが低くなり過ぎることはなくなり、信号に負荷がかかることによって生じるリンギングや信号の歪みが回避されます。 さらに、「ダンピング」アクセサリを使用すれば、プローブの周波数応答はプローブの帯域幅全体でフラットになります。 応答がフラットであれば、プローブの帯域幅全体で信号の歪みを回避することができます。 次は、高速信号をプロービングする際に、プローブ・ヘッド・アクセサリを使用しても、プローブがフル帯域幅を提供できるかどうかを確認することです。 プローブ・アンプとプローブ先端の間に制御伝送ラインを使用して、プローブ帯域幅を最適化したプローブを使用することで、単一の増幅器を使用して、ブラウジング、ソケット、はんだ付け、SMAなどの様々な差動/シングルエンド・プローブ・ヘッドを接続でき、フル・システム帯域幅を確保できます。 また、プローブ・アンプは、実際には制御伝送ラインによってプローブ先端から離れているので、狭いプロービング・スペースにも簡単に手が届きます。 重要なことは、様々なプローブ・ヘッドやアクセサリを使用する際に、プローブの帯域幅仕様を把握しておくことです。 アクセサリは、プローブの性能を劣化させる可能性があります。 何十万円も広帯域アクティブ・プローブでも、プロービングの構成によっては著しく性能が劣化する可能性があります。 画像をプリンタに送信したり、データをPCやサーバに転送する作業は、従来よりはるかに簡単です。 オシロスコープからデータをPCに転送する作業が多い場合は、上述の接続オプションのうちの少なくとも1つはオシロスコープに装備されていることが重要です。 内蔵のCD-ROMドライブは、USBまたはLAN接続経由によるファイル送信に比較すれば、多少労力を伴いますが、データの転送に便利です。 LANやUSBなどの高度な接続オプションを持たない低価格のオシロスコープについては、波形イメージやデータをGPIBやRS-232経由で簡単にPCに転送できるようにするソフトウェアパッケージを、ほとんどのメーカーが用意しています。 さらに、データ保存にも使用できる数GBのハードディスクドライブも多くのオシロスコープに備わっています。 どのようなコネクティビティやドキュメント機能がオシロスコープに必要なのかを考えておく必要があります。 オシロスコープを自動テストシステムの一部として使用する場合は、ソフトウェア、プログラミング環境に対応するドライバが付属していることを確認する必要があります。 波形の解析方法は? 自動測定や内蔵の解析機能により、時間を節約できるだけでなく、作業が簡単になります。 ほとんどのデジタルオシロスコープには、アナログオシロスコープにはない測定機能や解析オプションが用意されています。 演算機能には、加算、減算、乗算、除算、積分、微分があります。 さらに、FFT機能も多くのデジタルオシロスコープに内蔵されています。 波形解析用に、メーカーは、従来より優れた柔軟性を備えたミッドレンジおよびハイパフォーマンスのオシロスコープを提供しています。 また、一部のメーカーでは、複雑な測定をカスタマイズしたり、演算機能や後処理機能をユーザインタフェースから直接実行することができるソフトウェアパッケージを用意しています。 この機能を使用すれば、外部PCへのデータ転送が不要になり、時間を大幅に節約することができます。 図10:多くのデジタルデザイナーは、ヒストグラムなどの測定機能を使って、シグナルインテグリティを評価しています。 図11:KeysightのMy Infiniiumアプリケーションカスタマイズパッケージなどのソフトウェアを使えば、さらに高度な波形解析を実行できます。 My Infiniiumによって、エンジニアは、フロントパネルやGUIからカスタマイズしたアプリケーションを直接起動できます。 出典:キーサイト・テクノロジー オシロスコープを試してみる 本ガイドの内容を考慮すれば、要件に適合するオシロスコープの選択範囲を絞ることができます。 その後、対象となるオシロスコープを実際に試して、個別に比較検討します。 数日間、オシロスコープを借りて、十分に評価します。 オシロスコープを使用する際に考慮すべき点は以下です。 使いやすさ:試用期間中、次の点に関してオシロスコープの使いやすさを個別に評価します。 垂直感度、タイムベース速度、トレース位置、トリガレベルなど使用頻度の高い調整項目について使いやすい専用のつまみがあるか• ある操作から次の操作に移るときいくつの押しボタンを操作する必要があるか• 回路を試験している最中でもオシロスコープの操作は分かりやすいか• ディスプレイの応答性:オシロスコープの評価では、ディスプレイの応答性に注目します。 これは、オシロスコープをトラブルシューティングに使用する場合でも、大量のデータを収集する場合でも重要な要素です。 また、測定機能をオンにして同じことを試し、応答が著しく低下するかどうかを調べます。 用語集 エリアジング信号 ナイキストレート(信号の最大周波数成分の2倍)以下でサンプリングされたため、信号の周波数成分が変更されてしまった信号(一般に電気信号)。 CAN コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network)。 自動車業界や産業界でよく使用される信頼性の高いシリアル通信バス規格。 GPIB IEEE-488バスとも呼ばれる汎用測定器バス。 テスト機器をコンピュータに接続したり、プログラミング可能な機器制御を提供するためのインタフェースとして広く使用されている。 高調波 信号の基本波の整数倍の周波数成分。 I2C 集積回路間バス。 同一プリント基板上の複数の集積回路間のトークによく使用される、2つの信号(クロックとデータ)から構成される短距離シリアル通信バス規格。 インタリーブ デジタルオシロスコープに用いられる技術で、異なるアナログチャネルのADCを同時に使用して、使用するチャネル数を減らすと、サンプリングレートやメモリ長を増加させることができる。 LC共振回路 インダクタンスとキャパシタンスから構成される回路。 回路が共振または同調状態にある周波数近傍に連続分布するバンドに電気を蓄えることができる。 LIN ローカルインターコネクトネットワーク。 短距離シリアル通信規格で、CANバスが備わったシステムでよく使用される。 LINは、CANバスより低速だが、CANバスほど複雑ではない。 ミックスドシグナルオシロスコープ (MSO) アナログ信号およびデジタル信号を観察するために、従来より多数のチャネルが備わったデジタルオシロスコープ。 MSOには、通常、2個か4個のアナログ・チャネルがあり、最低でも8ビットの垂直軸分解能が備わっている。 通常16個のデジタルチャネルがあるが、各チャネルの垂直軸分解能はほとんどの場合1ビットしかない。 SDRAM 同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Synchronous Dynamic Random Access Memory)。 最も一般的なデジタルメモリ。 すべての信号のタイミング基準が1つのクロックである点で、前世代のDRAMと異なる。 SPI シリアル周辺機器インタフェース(Serial Peripheral Interface)。 ADCなどのマイクロコントローラ周辺機器からデータを読み込むために広く使用される。 2つ(クロックとデータ)か3つ(クロック、データ、ストローブ)の信号から構成される非常に簡単な短距離シリアル通信バス規格。 USB ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus)。 テスト機器を含めた周辺装置をコンピュータに接続するためのインタフェース。

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